そこで電子書籍は簡単に作ることができるのか?
というと、どうもそうではない。
というおはなし。
ハナシの始まりはIT PROの
「”紙用データをiPad向けに”という考え方では無理」
というインタビューを元に考えてみたい。
そのインタビューはiPad専用写真誌「photo.J」を手掛けるクロスデザインの社長さんが語るところを元にしてる。
お題通り紙媒体を前提としたコンテンツをそのままiPadには持ち込めないというのが大きく主張されているところであります。
なぜそうなのかというのは実施されている方らしい言葉で、
「紙媒体は限られた紙面の中に収まるように制作するが、
電子書籍は階層化や並列概念など管理システムが組み込まれるから違うのです」
というところ。
ふむふむ。
明快に説明されていますね。
もし新聞屋がそのままiPad向け媒体を作るとコンテンツが全てシーケンシャルになるので、
目的にたどり着きにくいですよね。
これの最たるものがpdfのカタログでしょう。
なんであのカタログというのは読みにくいのかと考えると、
紙媒体のカタログをPDFに直しただけ。
つまり目的のコンテンツに辿りつくまでの道が整備されていないのが原因ですね。
それを無視してつくるからコンテンツを把握している人にしか読めないマニュアルになってしまうのではないでしょうか。
それに対してiPad向けに発行されているニュースアプリなどは、
カテゴライズやお気に入り、読む人に合わせたコンテンツを表示するように出来ています。
最終的なコンテンツの内容は一緒でも、
まったく違うものになりますよね。
紙媒体はオープンループとすれば、電子書籍はフィードバック型ではないかということです。
そしてこのインタビューの後半にはコストについて言及していて、
「iPad向け電子書籍は安くない」
と。
理由としてはiPad独特の縦・横表示に合わせたコンテンツ作りをするから、
結果作業量は二倍になる。
調子にのってiPhone用をつくろうとすれば、iPhone用にオプティマイズしてみると結果3倍くらいのコストがかかる・・
うーん、ちゃんとしたものをつくろうとするとものすごいコストになるんですね。
iPadがいくら売れているからといっても、
そのなかで読者になってもらえるのは数分の一以下になること間違いなしだから、
よくよく考えて参入しないとやっぱりダメなのね。
もし、会社の上層部が調子に乗って
「よしウチもiPad向け書籍をついでに発行しよう」
なんて言った日には大変なことが起こるというわけです。
決してタダではない。むしろコストがかかる。
じっくり検討しない人には紙面をスキャンすればできるじゃないかというていどかもしれません。
あぶないなぁ。
ところでワタクシも購入した雑誌をスキャンしてPDFにしております。
こうするとiPadで読むことができるのですが、
実は不具合もなくはないのです。
やってみるとわかるのですが、縦・横にリサイズするiPad向け書籍と、ただのPDFは
「読み心地」
が違うのです。
特に雑誌ばかりスキャンして読むのでその傾向が顕著に出ます。
見開きのページは視線が大きく移動しますよね。
拡大して読んでいるときにはスクロールする移動量も当然大きくなります。
こういう細かい事が当初見えなかったのには驚きました。
目次も表示しているだけでジャンプする機能もありませんから、
読みたいところに辿りつくまでちょっと手間ですね。
自分で少しやってみると難しさもわかります。
既存の出版会社が電子書籍に進出できないのは、
そんなことが理由だったりして。。
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